循環型社会研究会

早稲田大学現代政治経済研究所研究部会

bar
 
主旨
構成員
研究会 見学

主旨

顕在化しつつある環境制約の中で,持続可能な経済成長を続けることは可能なのでしょうか? これを可能にする手段として,自然生態系を損なわない形で人工物の循環を実現すべく 「循環型社会」への移行が推進されようとしています. 「循環型社会」とはいかなるもので,私たちの生活をどのように変えていくのでしょうか? 又,そもそも「循環型社会」は本当に環境制約を軽減することが出来るのでしょうか?  仮にそうだとして,循環型社会は実現できるのでしょうか? これらの題目について,理念のみを先行させるのではなく,現実の知見を踏まえた活動を行っていきます. 先行研究会(廃棄物処理の経済分析)と同様に, 経済と環境の関わりについて廃棄物を切り口として進めていきます.


部会構成員


研究会

  1. new 吉田登氏 (和歌山大学システム工学部) 2005/03/09
    「より高度な再資源化を目指した地域の循環形成の将来展望に関する評価研究」
    ********************************
    転炉を活用した鉄スクラップを原料とした新しい製鋼技術についての評価などについて伺いました。WIOの応用もなさっています。
  2. 村上進亮氏(独立行政法人 国立環境研究所 研究員 2005/01/17
    「日本の金属マテリアルフロー分析とその課題」
    ********************************
    産業連関の枠組みの中での鉱種別MFAについてお話を伺いました。
  3. 岡敏弘氏 (福井県立大学大学院経済・経営学研究科教授) 2004/11/26
    「環境リスク管理政策の費用効果分析と費用便益分析―政策評価を簡単にするために―」
    ******************************** 
    環境化学物質規制のリスク削減費用と便益などについてクロルデン(シロアリ防止剤)禁止,ダイオキシン緊急・恒久対策等を例にお話を伺いました。環境経済評価でよく用いられるWTPを想定することがそもそも不可能な場合が少なからずあるとのご指摘は的確であり,アンケートなどを用いたその安易な利用には慎重でなくてはなりません。「水たまりの価値も計れる」等とはしゃいで?はいけません。
  4. 松藤敏彦氏 (北海道大学大学院工学研究科) 2004/06/18
    「家電リサイクル施設における物質収支・金属収支」
    ******************************** 
    Matsuto, Jung,  Tanaka: Material and heavy metal balance in a recycling facility for home electrical appliances, Waste Management 24 (2004) 425–436 の内容についてお話し頂きました。プラントから収集したサンプルの組成分析に基づき,(1 ) Bグループリサイクル工場を特徴づける手解体による従来型処理に対する追加的効果は小さい, (2)  重金属(CRTからのPb,断熱ウレタンからのZn,TVキャビネットと電線からの Cd, Cr,基板からの Sb (アンチモン)など)回収には大いに効果的である,との重要な知見が得られています。
  5. 上野潔氏 (三菱電機株式会社)
    「リサイクル現場から見たDfDの現状と今後の課題」 2004/4/26
    ********************************
    家電リサイクル法施行から3年,リサイクル工場を通じて年間十数万台の使用済み家電がメーカーの元に戻ってきています。この我が国に独特の現象が易分解設計や素材の閉循環に与えつつある影響についてお話を伺いました。
  6. 加河 茂美氏 (東北大学大学院情報科学研究科人間社会情報科学専攻空間計画科学研究室)
    「Measuring Spatial Pollution Rebound Effects of Waste Recycling」 2004/03/26
    ********************************
    WIOをSNAの枠組みの中で地域産業連関表と組み合わせた先端的な研究報告を頂きました。WIO研究者の輪が拡がりつつあるのを実感致します。2000年版IO表の公開を受け,2000年版WIOの作成に着手致します。
  7. 加藤丈佳氏 (名古屋大学工学研究科電気工学専攻)
    「エネルギーシステム全体から見た分散電源の評価」 2003/10/10  
    ********************************
    太陽光発電(PV)システムを例とした自然エネルギー発電システムの出力変動が電力系統の計画・運用に与える影響,及び 別住宅の視点とエネルギーシステム全体からの視点から見た住宅用コージェネレーションシステム(CGS)の省エネルギー性・経済性・CO2排出削減の評価,についてお話し頂きました。
    分散電源の評価に於いては,ミクロ単位についてのそれに加え,a 電源計画:系統電源に対する分散電源の代替性(kW価値),b 負荷周波数制御(Load Frequency Control : LFC):分散電源の出力変動抑制のためのLFC容量,c 電圧制御配電系統における分散:電源の集中・大規模導入による電圧上昇・変動,に関するマクロ的なシステム全体への影響を併せて評価することが重要です。その理由は,風力・太陽光などを利用した発電出力が自然条件に依存して大きく変動するため,その変動可能性に対応しつつ量的・質的に安定的な電力供給を担保するためには系統側での冗長性が求められ,全体として稼働率が低下する 可能性を持つ事によります。分散電源のLCAにおいては,この点を適切に考慮することが求められるでしょう。この点に関する限り,24時間連続運転の廃棄物発電の方が風力や陽光よりも系統電力に与える影響は少ないことになると考えられます。
  8. 本藤祐樹氏 ((財) 電力中央研究所)
    「LCAと産業連関分析との関係 および LCAにおけるリサイクルの取り扱い」
    2003/09/02
    ********************************
    技術評価という広い枠組みでとらえたLCA,その理論的基礎,リスク評価とLCA,技術の社会的受容性等についてお話を伺いました。専ら実践主導で進んできたLCAですが,その「理論的な基礎」を巡っての議論は余り なされていないようです。
  9. 後藤尚弘氏(豊橋技術科学大学 エコロジー工学系)
    「地域物質フロー解析による循環型社会の形成」 2003/08/05
    ********************************
    循環型社会構築に必須な基礎的データとしてマテリアルフロー分析(MFA)が注目されています。愛知県産業連関表 に基づいたMFA推計方法と結果,屋久島MFAと廃棄物管理政策への応用などについてお話を伺 いました。屋久島における廃棄物発生源単位調査によれば,一日一人当たり廃棄物発生量は寝屋川市の約70%であった,とのことです。この背景には,農産物の地産地消が有るようです(その結果,包装廃棄物が少ない)。 尚,関連研究が環境影響評価ソフト・データベースの形で web 上で公開されています。
  10. 加河 茂美氏( 独立行政法人国立環境研究所・ 循環型社会形成推進・廃棄物研究センター・ 循環型社会形成システム研究室)
    「地域間産業廃棄物流動の経験分析」 2003/07/07 15:00
    *******************************
    産業連関を用いた69種類の産業廃棄物についての誘発量分析,及び,地域産業連関分析を廃棄物へ拡張した研究についてお話しいただきました。地域 産業連関分析を用いることで,消費地と生産地における財と廃棄物の空間的連関関係を定量的に把握できるようになります。例えば,九州における畜産廃棄物と関東地方における黒毛豚消費量の関係です。
  11. 松野泰也氏 (東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻 助教授)
    「循環型社会におけるLCA (LCA手法の拡張 - Integrated LCAの構築)」 2003/06/16 15:00
    *******************************
    臭素回収を考慮した廃プラスチックリサイクルのLCAと経済性評価,エアコンを例としたLCAとポピュレーションバランスモデルの統合化による製品群が社会全体にもたらす環境負荷評価方法、ピンチ解析を用いたスクラップ最適利用を中心にお話しいただきました。実用化が進む製品LCAに対し,リサイクルLCAには,回収物の代替可能性を始め,多くの研究課題があることを再認識しました。
  12. 福島康裕氏 (東京大学工学系研究科化学システム工学専攻 助手)
    「Scenario-based LCA」 2003/06/09 16:00
    *******************************
    International Journal of LCA 2002 7 (6) 317 - 329 (2002) に掲載された論文 "A Structured Framework and Language for Scenario-Based Life Cycle Assessment" に基づくLCAシナリオ作成方法論とそれを用いた燃料電池の評価についてお話しいただきました。中村の研究グループが行ってきたものは,方法論の分類としてはシナリオLCAであることがわかりました。
  13. 橋本征二氏 ((独)国立環境研究所)
    「木橋のLCA」 2003/05/23 
    *******************************
    持続的な森林管理を前提すれば,木材利用は有力なCO2固定源と見なすことが出来ます。 しかし,屋外で使用される木材は,一般にクレオソートやCCA(クロム,銅,ヒ素)防腐処理が施してあり,使用段階での流出や, 廃棄処理における環境影響に対する懸念があります。 木橋,コンクリート橋,鉄骨橋についてCO2以外の負荷も考慮したLCAについて説明頂きました。 ところで,伝統的な日本建築(出雲大社や伊勢神宮)では白木をそのまま使うので,防腐処理はされないようです。 その代わりに,修理補修を頻繁に行います。さて,この可能性を加えたLCAは如何に。
  14. 間宮 尚氏 (鹿島技術研究所)
    「デイスポーザーのLCA 」 2003/01/10
    ********************************
    利便性と衛生面から厨芥処理方法として注目を集めているデイスポーザーについて,利用段階,廃棄物収集・処理, 下水処理を包括したLCA研究についてお話し頂きました.国土交通省が北海道で行った 社会実験 との対比,建築物の機能的寿命長期化におけるデイスポーザー設置仕様による制約,なども紹介されました.
  15. Suh Sangwong (徐 祥源)氏 (ライデン大学環境科学研究所CML)
    Frontier of Research in LCA  02/11/08
    ********************************
    SETACを中心としたLCAの動向や環境リスク分析(ERA)・土地占有(land occupation)等のLCA研究の最新動向についてお話をいただきました。
  16. 栗原英隆氏 ((社)全国都市清掃会議技術部長)
    「廃棄物処理技術の最近の動向」 02/08/02
    ********************************
    近年,廃棄物処理技術には著しい多様化が見られます.焼却においても次世代技術といわれるガス化溶融炉が実際に稼働を開始してます. 各種処理方式の相違をはじめ実際の運用例についてもお話し頂きました.
  17. Karl-Heinz Feuerherd氏 (神戸山手大学教授)
    「ドイツは手本とすべき環境先進国か」 02/04/08
    **********************************
    気候や食生活の相違によって何が「先進」か異なる,点を巡って高気密住宅(寒冷なドイツでは結露の問題がない), 洗濯機などを例にお話し頂きました.
  18. 中野加都子氏 (関西大学工業技術研究所・神戸山手大学)
    「広域化が環境に与える影響の評価
    −社会システム変更へのLCAの適用-」 02/02/13
    ***********************************
    兵庫県の一般廃棄物処理広域化が環境・費用に及ぼす影響について,最新の分析結果をお話しいただきました.
    ***********************************
  19. 占部武生氏 (東京都環境科学研究所)
    「東京都の産業廃棄物の産業連関分析」 01/12/05
    ***********************************
    東京都産業連関表と部門別産業廃棄物排出データを組み合わせた付帯型産業連関分析についてお話し頂きました. 建設廃棄物の割合が全国平均よりも際だって高いのが東京の特徴ですが,これを派生させるのが最終需要の中でも固定資本形成です.
    ***********************************
  20. 間宮尚氏 (鹿島建設技術研究所)
    「建設廃棄物の現状と課題」 01/12/4
    ***********************************
    建設廃棄物の現状についてマクロ的なフローと現場における実体の両側面から解説して頂きました. マテリアルリサイクルにおける有害物質問題の重要性を再確認いたしました. 道路建設を縮小すると,これまで路盤材として吸収されてきた建設系廃棄物の用途を新たに開発する必要が生じます.
    ***********************************
  21. 小倉正雄氏(東京ガス) 鈴木信男氏 (三菱重工株式会社)
    「神奈川県環境技術研究会の活動について」 01/09/21
    ************************************
    研究会の概要,及び有機廃棄物の多様な再資源化技術とそれを組み合わせたシステム設計の 可能性についてお話をいただきました. 有機廃棄物は食料と密接に関わっており,その再資源化は食料安全保障・国内農業保全 とも密接に関わっています.
    ************************************
  22. 倉持進氏 (板橋区役所リサイクル推進課)
    「板橋区ガラスリサイクル事業」 01/6/27
    ************************************
    ガラス容器の需要が低迷する中,自治体が収集したガラス瓶をガラスとしてリサイクルする ことはますます困難になっています. 板橋区では,官民の協力により,ガラス瓶(主にワイン瓶)を建設資材 (インターロッキング・透水性タイル)として利用する 先駆的試みを展開しています.
  23. 上野明氏 (財団法人 日本容器包装リサイクル協会 顧問)
    「容器包装リサイクルの理想と現実」 01/6/13
    ************************************
    日本における容器包装リサイクル制度化の起源,リターナブル容器の衰退理由(店舗減少, 経営者高齢化,消費形態の変化),3R とLCAなどを巡り, 大手飲料メーカーでの長年の経験に基づいたお話をいただきました.
    ************************************

処理施設等見学

  1. 富士通化成株式会社首都圏相模原リサイクルセンター 2004/1208
    一般企業・リース会社から発生する使用済みOA機器(主にPC)の解体,データ破壊,プリント板解体,中古部品回収・検査を拝見いたしました。解体は主に手解体によって行われます。
  2. 三井串木野鉱山(株) 鹿児島県串木野市 2004/1207
    我が国最初の全泥青化製錬工場(大正3年)。全泥青化(NaCN)製錬法その他(電解,乾溜ガス化)を用いた貴金属リサイクルを拝見いたしました。10月に見学予定していたのが台風により11月も含め二度中止,三度目の今回は快晴に恵まれました。
  3. 豊島廃棄物等処理事業 香川県豊島・直島 2004/1119 (廃棄物学会主催)
    有名な「豊島事件」の後始末事業を見学。かつての投棄現場は養生シートに覆われ,「往時を偲ばせる」現物標本は資料館でのみ見ることができる。
  4. あおもりエコタウン八戸ゼロエミッションクラスター 青森県八戸市 2004/1115
    八戸地域の廃棄物ゼロモデルを構成する東北東京鉄鋼(株)[電炉メーカー,廃プラスチック・ASRリサイクル],大平洋金属(株)[フェロマンガン生産,焼却灰・ホタテ貝殻リサイクル],八戸製錬(株)[亜鉛精錬,飛灰リサイクル]および三菱製紙(株)[高効率リサイクル発電,自家スラッジ・廃木材・廃タイヤを燃料として投入]。
  5. 小名浜製錬株式会社小名浜製錬所 いわき市 2004/1105
    25万トン電解精製能力(年間)を持つ我が国最大規模の銅製錬工場。平成5年から反射炉を利用したシュレッダーダスト処理を開始し,現在では毎月約12000トンが処理されています。
  6. 秋田製錬株式会社飯島精錬所 秋田市 2004/0928
    生産規模では日本最大,世界10位の亜鉛(Zn)精錬工場。鉛(Pb)・銅(Cu)・銀(Ag)・金(Au)も含むメタル回収効率では世界最高水準にあります。湿式製錬法(鉱石を焙焼して得たZnOをH2SO4溶液中で電解)により高純度(99.99%以上)の電気亜鉛が生産されています。液晶パネル生産に必須のインジウム(In)回収も行われています。 この精錬所が臨海に立地しているのは,国内鉱山閉山によって鉱石供給を輸入に依存するようになったためとの事です。
    6月に見学させて頂いた三池製錬は乾式でしたので,これで両方式を拝見することが出来ました。
  7.  小坂製錬株式会社 小坂精錬所 秋田県大館市 2004/0927
    2年ぶりに再度見学させて頂きました。当時は花岡地区の最終処分場を見せて頂きましたが,今回は小坂に建設中の最終処分場(容量270万立米)を見せて頂く事が出来ました。粘性土遮水とゴムシート遮水を組み合わせた方式が用いられています。ゴムシート敷設作業が行われていました。
  8. 株式会社向山(むこやま)工場  (埼玉県久喜市) 2004/0919
    小型鉄筋棒鋼を専業に製造している電気炉メーカー。ストックヤード,電気炉,取鍋製錬,連続鋳造設備,圧延設備を見学させて頂きました。電炉を見せていただいたのは,自分にとって初めてでありました。一見雑多に見えるスクラップが,JIS規格製品に生まれ変わるまでをじっくり見せて頂きました。
  9. 神岡鉱業株式会社 鉛リサイクル工場 岐阜県飛騨市神岡 2004/0903 (中村,近藤,高瀬)
    神岡鉱山は,かつて東洋一の規模と設備を誇る鉛・亜鉛鉱山でしたが,経済的事由などで平成13年に採鉱が中止されました。現在では,鉛製錬技術を活用し,年間約5万トンの自動車用鉛蓄電池から約3万トンの鉛を回収,再び電池メーカーで使用されています。これを制度的に可能にしているのが, 電池メーカーが回収鉛を買い取る「下取り方式」です(電池工業会)。電池ケースのプラスチック(PP)からは,電池回収用のパレットが作られているそうです。硫黄還元(電池に含まれる希硫酸のため,鉱石ではないが硫黄分を含む)の還元剤として,飲料缶,破砕屑などの廃棄物が鉄源として用いられています。融剤として用いる石灰は神岡で採鉱されています。 又,鉛製錬に特徴的な事として,CRT(使用済みブラウン管)のガラス分を融剤として利用している点が挙げられます。CRTには20%弱の割合で鉛が入っていますが,これは製錬の原料になります。電子銃なども主に鉄でできているので,硫黄還元剤となります。CRTの国内生産が空洞化している今日,この方法は鉛リサイクルの優れた方法とも見えますが,全体のマスバランスからは蓄電池に対する新規需要との兼ね合いが必要でしょう。炭素還元用のコークスは外から調達。スラグは坑道の埋め戻しに使われます。電力エネルギーの大半は豊富な水力発電で賄われています。
  10. メタルリサイクル株式会社 埼玉県比企郡 2004/0829
    ELVリサイクルライン,中古部品工場,ストックヤード,シュレッダー(関東で最も早く設置されたシュレッダー,2,500馬力),主に建設系長大物に用いるギロチンシャー(1600トン),ASR選別機,を見学させて頂きました。
  11. 大牟田エコタウン 大牟田市 2004/0630 (中村)
    一般廃棄物からRDF(ゴミ固形燃料)を生産している大牟田・荒尾RDFセンター,そのRDFを燃やして発電をする大牟田リサイクル発電所,およびリ不燃ごみから金属・ガラス・プラスチックなどを選別・回収するサイクルプラザを見学致しました。35メートルのRDFサイロがそびえていますが,三重での爆発事故以来,貯留量を大幅に減らす,不燃性ガス(N)を充填するなどの対策が取られているとの事です。日本ではRDFと言えば棒状に固めたものを指しますが,北米では固化以前の状態(フラフ)のまま廃棄物発電に使われているようです。エネルギーを取り出すのが目的なら,その前処理で消費されるエネルギーを低水準に保つことが求められます。
  12.  三池製錬株式会社 大牟田市 2004/0629 (中村)
    電気炉から発生する製鋼煙灰や一般廃棄物焼却残渣溶融炉から発生する溶融飛灰から粗酸化亜鉛を回収するMF炉(三井式亜鉛反溶鉱炉),汚染土壌洗浄工程(クレイ射撃場土壌からの鉛弾回収),およびメッキ工場から発生するメッキドロスなどからの酸化亜鉛製造工程を見学させて頂きました。 かつては盛況を呈した国内非鉄鉱山,残念なことに現在では菱刈など数カ所を除いて閉山されてしまいました。しかし,非鉄製錬技術は「都市鉱山」からの希少金属回収には欠くことのできない存在であり,日本の持続可能社会実現を根本で支えている「縁の下の力持ち」です。 鉱床と鉱山(広島大学地球資源論研究室)には日本の鉱山情報が豊富です。
  13. 東浜リサイクルセンター  市川市 2004/40607 (中村,栗山,近藤,筑井,鷲津)
    我が国で最初に建設された本格的家電リサイクル工場です(Bグループ)。家電リサイクル法が施行される以前,平成12年3月に初めて見学させて頂いた頃はOA機器が主でしたが,現在は家電(テレビを除く)が主となっています。日本ならではの丁寧な部品手解体とハイテク破砕機による高品質素材回収が特に印象的でした。  
  14. 北九州エコタウン 北九州市 2004/0210 (中村,近藤: 産環協プロジェクト)
    平成10年夏に初めて訪問した際はPETリサイクル事業が漸く立ち上がったエコタウンですが,その間に総合環境コンビナートに8事業, 第2期エリアにも5事業が稼働し,見学者(その中にはマレーシア元首相のマハテイール氏も含まれます)のための エコタウンセンターすら擁する環境産業拠点へと発展しています。 今回の訪問では,北九州市環境局環境政策室にお世話頂き以下の4事業を見学させて頂きました: 
  15. 西日本家電リサイクル: Aグループ家電リサイクル工場,九州における冷蔵庫断熱フロン回収・処理拠点, プラスチックリサイクルにも取り組まれています。
  16. 西日本オートリサイクル: 徹底した手分解による部品取り外しとボデイガラサイコロプレスの併用により破砕ダスト(ASR)を出さない廃自動車処理が行われています。 プレスされる前に,鉄の品位を下げる銅が手分解で取り除かれるため,"サイコロ"は従来のスクラップの様に電炉ではな く転炉に投入されます。すなわち,"サイコロ"は,ほぼ同量の銑鉄を代替することになります。
  17. 高野興産:洗浄液・有機溶剤(IT産業などから排出)のリサイクルと廃プラスチック(PP, PS)の油化。
  18. ジェイ・リライツ: 使用済み蛍光管からガラス,金属(水銀を含む),蛍光体を回収。 回収したガラスと蛍光体は新しい蛍光管の生産にも使われています。 まだまだ見学したいところは沢山ありました。北九州エコタウンは正に環境産業のデパート。 産業と言えば観光と大学(特に環境関連技術の分野で有名という話は聞いていない)くらいのフライブルグなんかより北九州へ行く方が勉強になるし,地球環境にも優しいし,地域経済にも貢献します。
  19. 栃木県立N養護学校 移転新築工事現場 宇都宮市 2003/1114 (中村)
    屋根材一体型太陽電池設置現場を拝見しました。施工における一般屋根材との相違は電線結線の有無,との事です。太陽電池は価格低下・効率上昇などにより一層の普及が予想されていますが(太陽光発電技術研究組合),電池寿命がかなり長いため,建て替え時などにおける再利用の必要性が指摘されています。本日拝見した現場の印象では,将来の再利用時における解体は容易であるように見受けられました。
  20. TOTO茅ヶ崎工場 デイスポーザー関連施設を拝見しました 2003/0602 (中村,近藤,高瀬,横山)
    デイスポーと廃水処理槽を組み合わせた集合住宅用システムを導入した集合住宅が「超高層マンション」を中心に普及しつつあるようです。確かに,30階から生ゴミの入ったビニール袋を搬出するのは容易ではありませんし,衛生上の問題もあるかも知れません。ゼミ生にもデイスポー付き住宅に住んでいる人がいます。国土交通省は北海道歌登町でデイスポーザー社会実験を行っていますが,そこでは排水は公共下水道へ直接排出されます。中間報告はこちら。この方法は,デイスポーザー普及率の高い米国では一般的です。下水施設を活用してメタン回収を行うのか,京都市,神戸市や北見市で試みられているように(主に事業系の)厨芥を個別回収・輸送して専用のメタン発酵施設で処理するのか,様々な可能性があるようです。どの方法が「最適なのか」は,地域の条件と最適性の基準に依存します。これらを適切に考慮したLCAが解析手段として注目されます。
    ところで,茅ヶ崎工場は1940年に開催予定だった「幻の東京オリンピック」における衛生陶器関連需要を見越して建設された,と伺いました。歴史の連続性を再認識! ネットで見つけた幻の東京オリンピック情報はこちら。文献は橋本一夫「幻の東京オリンピック」NHKブックス
  21. 市川エコプラント 建設混合廃棄物等の中間処理工場 2003/0130 (中村)
    建設混合廃棄物の破砕・多段階選別過程を拝見しました
  22. 都市基盤整備公団 高根台団地第1期先工区立て替え事業解体現場  千葉県船橋市 2002/1219 (中村) 
    リサイクル率の向上が課題となっている建築混合廃棄物のうち,断熱材などとして用いられている発泡ポリスチレンシートの回収現場を 見学いたしました. 日本では年間約7万トン弱のポリスチレンフォームが生産され,平成12年では47%が住宅用,27%が一般建築,20%が畳に使用されています。
  23. 君津地域広域廃棄物処理施設「かずさクリーンシステム」2002/1114 (中村)
    最新型の直接溶融炉を( 100t/24h x 2炉 )拝見しました。 3年前に拝見した茨木市の炉 では出銑作業が人手で行われていましたが、ここでは自動化されています。 スラグとメタル(平均 9:1)は分離せずに出銑し、水砕後磁選別されます。 一廃可燃物、清掃工場の焼却灰、および屎尿・浄化槽汚泥(水分80%)が処理されています。
  24.  新日本製鐵君津製鉄所 2002/1114 (中村)
    コークス炉化学原材料化法によるプラスチックリサイクルを拝見しました。 「高炉の必須設備であるコークス炉に破砕成型した廃プラスチック(一廃)を石炭と共に投入し,炭化水素油(軽質油・タール),コークス, およびCO等から成るコークス炉ガ スを回収。炭化水素油は石炭化学製品と同等の品質を持ち市場で流通、コークス炉ガスは高炉で利用される。 高炉還元が元々ドイツで開発されたのに対し,この技術は日本独自。 」との説明を受けました。高炉還元利用に比べ,コークス炉 投入に必要な前処理は少なくて済むようです。何れにしても前処理を施せば既存設備が使えるわけで、 プラスチックリサイクルにおける鉄鋼業の重要性を改めて痛感しました。
  25. 道路舗装材料メーカー A 社 (新潟県) 2002/1101 (中村)
    再生舗装材料の添加剤としての有機系廃棄物利用を拝見しました
  26. 横浜市環境事業局金沢工場 141004 (中村,近藤,鷲津,高瀬,横山)
    400トン/日のストーカー炉3基を持ち,廃棄物発電,焼却灰溶融スラグ化を行う. 隣接する下水処理施設から消化ガスを受け入れると同時に熱と電力を供給. 徐冷スラグは骨材・路盤材として利用.メタルは非鉄金属精錬(秋田県)で金属回収. 化石燃料消費と最終処分場消費を削減しつつ有用金属の回収をも可能にする先端的な資源循環型廃棄物処理システム. 我が国にうってつけのシステムであるとの印象を持ちました.溶融写真帖
  27.  同和鉱業(株) グループリサイクル・環境関連事業 秋田県大館・小坂 2002/0917 (中村,近藤,横山)
    大館地区における中間処理施設・家電リサイクル工場・鉱山露天掘り跡地を活用した最終処分場, 及び小坂地区における銅精錬工場・金属蒸気回収炉を見学させて頂きました. この地域は,かつて世界有数の鉱山地域で,そこで採掘されていた黒鉱と呼ばれる複雑鉱の処理については, 世界トップクラスの技術を確立しています. この技術・施設を核として秋田県エコタウン計画 が展開されています. 非鉄精錬の象徴たる自溶炉が中央にそびえる工場写真はこちら (写真左の煉瓦建築は明治期からの物と伺いました).
  28. 複写機メーカー F社工場 海老名市 2002/0912 (中村,近藤,高瀬,横山)
    廃棄0%を目指した資源循環システムを見学させて頂きました.
  29. 霞ヶ浦及び土浦周辺畜産廃棄物 2002/0821 (中村,近藤,横山)
    茨城県,国土交通省霞ヶ浦工事事務所,および 畜産農家のご好意により,琵琶湖に次ぐ全国2位の湖水における漁業(鯉養殖)と周辺地域における農業(レンコン栽培), および畜産(乳牛・肉牛)廃棄物堆肥化の現場を拝見致しました.写真帖
  30. エヌケーケートリニケンス 使用済み家電リサイクルシステム
    2002//07/05 (中村,鷲津,高瀬,横山)
    NKK京浜製鉄所内の家電リサイクル工場を見学させて頂きました.冷蔵庫のウレタンに含まれる断熱フロンの回収も行われています.
  31. NKK使用済みプラスチック高炉原料化システム 2002//07/05 (中村,鷲津,高瀬,横山) NKK京浜製鉄所内のプラスチック高炉還元利用システムを見学させて頂きました.
  32.  株式会社リーテム 水戸工場 2002//05/31 (中村)
    鉄系スクラップ、廃 OA 機器、非鉄スクラップ (携帯電話も含まれます)、樹脂付き金属 (基盤くず) の先進的中間処理・素材回収を拝見させて頂きました。特殊な破砕機を用い、モーターを常温破砕して鉄と銅を分離しています (液体窒素を用いた低温破砕が必要かと思っていましたので、認識を改めました)。 基盤ダストの金含有率は天然鉱山よりも高いが、全体量が少ない点で費用の面で不利になる、とのことです。 アルミとプラスチックから成るカセット類は主に高炉還元利用されます (高炉にアルミが入るのは問題ありません。しかし、銅が入るのは圧延において障害を生じます。)。 パチスロ機解体・部品再利用も拝見しました。木製筐体は RDF になるそうです。混合材料から構成されるカセット様の物は、ねじ止めの方がツメ止めよりも分解性が良い、と伺いました。 エコデザイン研究者が参考にすべき事でしょう。
  33. 建材メーカーA社  兵庫県 2002/01/24 (中村)
    特殊表面加工によるコンクリート型枠(建築廃材を利用)長寿命化。
  34.   Aグループ家電リサイクル工場 矢ノ原市 2002/01/24 (中村)
    リサイクル技術(易分解設計を含む)向上のための研究開発に従事しているモデル工場を拝見.冷蔵庫は密閉施設で破砕し,CFC11とウレタンを回収.
  35. 集光式CRT分割 T社 川崎市 2001/11/19 (中村)
    日本には約2億本のCRTが存在するとされています. CRTのリサイクルにおける課題は,パネルガラスとファンネルガラス(X線対策として鉛を多く含む)を安定かつ効率よく分割する事にあります. この分野における新方式(赤外線利用)を拝見しました.BグループとしてのTV, PC の手分解工程も拝見しましたが,きめ細かく精確な分別に感心しました. おおざっぱな印象を受けた昨年9月に見学したベルリンの解体作業とは格段の相違があります.
  36. 新百合ヶ丘V百貨店,2001/11-8 (中村)
    計量システムによる徹底した廃棄物管理,PS容器の溶解圧縮,食品残渣(魚あらを除く)のメタン発酵・ガス利用をなさっています. M社環境対策情報のweb page.地階に設置されたメタン発酵システムは昨年暮れに 調布で拝見した方式です. 魚あらを除いているのはアンモニア発生により発酵が阻害されるため,と伺いました.
  37.  神奈川県開成町グリーンリサイクルセンター,2001/11-8 (中村)
    町内で発生した植木剪定枝から堆肥を生産し,町内農家に無料配布する実験事業.堆肥は好評とのことです.
    一般家庭・学校などからの分別厨芥についても実験をなさっています. 剪定枝を主に処理しているせいかもしれませんが,特有の臭気が全く感じられず,むしろさわやかな「木のにおい」が感じられました. 同町(人口1万数千,神奈川県で最小の町)が焼却施設を持たず,隣町の施設に依存することから, 何とかその処理量を減らそうとする中で発案・実行された事業である,と伺いました.
  38. 日鉱金属株式会社 日立C&R工場 2001/8-7 (中村,近藤,高瀬,横山)
    クリーンZ炉(ロータリーキルン+ストーカー炉):廃油・廃酸・廃アルカリ処理
    リサイクル(溶融炉)炉:無機汚泥,鉱滓,焼却灰,汚染土壌を処理して非鉄金属とスラグを回収
    最終処分場を必要としない産廃処理・資源回収施設を見学させていただきました. 日立工場は有名な百足煙突(現存)が建設された日立製作所発祥の地でもあり,明治期に始まる我が国産業の勃興を知る面でも極めて印象深い所であります.
  39. 株式会社エフピコ  関東リサイクル第1工場 茨城県古河市 2001/07/25 (中村,高瀬,横山)
    スーパー等から回収された発泡スチロールトレイのマテリアルリサイクル(トレイからトレイ)工程の内, 回収品の破袋,一次選別,素材・色選別,洗浄,粉砕,乾燥,溶融,ペレット生産の一貫ラインを見学させて頂きました.
  40. 板橋区ガラスリサイクル事業 2001/7/17 (中村,弦間,伊藤,高瀬,横山)
    1. T 社和光事業所(破砕選別施設)
    2. ワインブロック,景観対応型透水性ガラスリサイクル舗装施工例 
    01/6/27の研究会でお話しいただいたガラスリサイクルの実際を見学させていただきました. 分別・中間処理がリサイクルではなく,製品として利用されて初めてリサイクルとなります.小学校での利用は,環境教育の面からも,きわめて効果的と思われます.
  41. 鹿島共同再資源化センター クリーンプラザ竜( 龍ヶ崎清掃工場) 2001/04/27
    共同再資源化センターは,鹿島地域における広域化計画の一環として,3自治体から収集した可燃性廃棄物を主たる原料としてRDF(固形燃料)を生産し,発電に利用しています.
bar 最初の頁に戻る