廃棄物処理の経済分析
本研究会は1997年4月に発足し、2001年3月をもって終了しました。
後継研究会として「
循環型社会研究会」が2001年4月に発足しました。
本研究会の成果の一部が「廃棄物経済学をめざして」という本になって,2002年夏に公刊されました.
WPとして作成された英文論文なども国際学術論文その他への掲載が決まった物があります.
詳しくは,研究業績をご覧ください. |
廃棄物問題は経済社会の持続可能性に関わる最重要問題となってきています。
しかしながら、経済学の廃棄物問題への取り組みは、決して十分とは言えません。
例えば、「持続可能な成長」を巡る議論において、未だに、原材料やエネルギーを排除した「伝統的なマクロ成長モデル」が多く用いられています。
しかし、廃棄物問題は物質収支に関わることであり、これを最初から排除して「持続可能性」を議論するのは、問題の本質を見失うことになるのではないでしょうか。
家計から排出される一般廃棄物に関して、「ごみ処理を有料化すれば廃棄物は減らせる」と言う意見があります。
これは、経済学の需要理論が根拠となっているようです。しかし、需要の理論は「財がいくらあっても構わない (free disposal)
」状況での「財・用益の購入」に関わる物であって、単純に廃棄物処理に応用するのは危険です。
先ず、廃棄物処理とは、まさに「有って困っている」状況において生じますから、需要理論の想定する状況とは全く異なります。
更に、需要理論が事前の財選択に関わるのに対して、廃棄物処理は、既に存在している厄介者をどうやって目の前から無くすか、に関わるのです。
前者においては、「高いから買わない」という形で需要量を減らす行動が生じますが、後者では物質保存則が働いて、廃棄物は空間的に移動したり、
形状を変換することはあっても、消滅することは決してありません。
本研究会は、上のような認識に立って、経済学は廃棄物をどのように捉えて行くべきか、又、
その過程を通じていかに実際の廃棄物問題解決に貢献できるのか、を考えていきます。
表面上の繁栄と裏腹に、現在の経済学が抱える一つの大きな問題は、実際の制度や技術に関しての関心を失い、 あまりに自己目的化していることに有るように見えます。
本研究会は、この点をよく認識し、廃棄物処理の実際についての知見を、 見学会や講演会を通じて得ていくことを目指しています。
この過程での本研究会の活動が、ホームページを通じて、単に経済学者のみでなく、 ひろく廃棄物に関心を寄せる方々のお役に立つことが出来れば幸いであります。
部会構成員
- 中村 愼一郎 政治経済学部教授 (計量経済学) 部会主任
- 赤尾 健一 社会科学部助教授 (地球環境論)
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大和田 秀二 理工学部教授 (リサイクル工学)
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栗山浩一 政治経済学部専任講師
(環境経済学)
- 弦間 正彦 社会科学部教授 (農業経済学)
- 近藤康之 富山大学経済学部講師 (計量経済学)
- 船木 由喜彦 政治経済学部教授 (ゲーム理論)
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櫻井 英博 教育学部教授(生物学) 環境保全センター所長
- 寄本 勝美 政治経済学部教授 (地方自治論) 早稲田大学理事
- 松波淳也 法政大学助教授 (環境経済学)
- 高瀬浩二 中村研究室大学院生(D2) 研究協力者
- 横山 一代 中村研究室大学院生(D1) 研究協力者
研究会
- 吉田卓弥氏 (日立製作所 研究員)
「家電製品リサイクルのLCA -予測と実証結果-」 00/11/24
日立製作所環境報告書
- 山口 修氏 (太平洋セメント 主任研究員)
「セメント業界における廃棄物リサイクル」 00/7/28
- 上野 潔氏 (三菱電機株式会社)
「家電製品リサイクルへのメーカーの取り組みと課題
-リサイクルプラントから、組立産業と素材産業への発信-」
00 /7/14
-
稲葉 敦氏 (工業技術院資源環境技術研究所 企画室長)
「ライフサイクルアセスメント (LCA) - 考え方と応用例-」
00/7/12
エネルギー評価研究室
LCAソフトの開発も行っています
- 大矢 仁史氏 (工業技術院資源環境技術研究所)
「廃棄物再資源化のエクセルギー分析」 00/4/4 - 門前 兼広氏 日本鉱業協会 技術部
「シュレッダーダスト処理をめぐる技術動向」 00/1/13 -
近藤 康之氏 富山大学経済学部講師 00/12/21
「MATLABによる廃棄物産業連関分析」 - 吉村 元男氏 ((株) 環境事業計画研究所) 所長 1999/12/7
「屋久島ゼロエミッション計画」 - 松藤 敏彦氏 (北海道大学大学院工学研究科) 1999/11/24
「循環型社会における廃棄物処理の課題」 - 赤尾 健一研究員 1999/9/16
「持続可能な発展と環境クズネッツ曲線」 - 栗原 康氏 (東北大学名誉教授) 1999/7/13
「干潟生態系の構造と機能」 環境評価フォーラムとの共催 - 真弓 浩三氏 (徳島大学総合科学部) 1999/6/2
「ジェボンズパラドックスの含意 」 - 飯島 林蔵氏 (プラスチックリサイクリング学会 理事) 1999/4/23
「廃プラスチックリサイクルをめぐる最近の動向」 - 桜谷 敏和氏 (川崎製鉄技術総括部) 1998/10/7
「鉄鋼業における副産物・廃棄物処理」 - 吉田 佳司氏 (川崎製鉄
環境事業部) 1998/7/6
「ゴミ固形燃料(RDF)の現状と今後の課題」 - 槌田 敦氏 (名城大学教授 元理化学研究所研究員 ) 1998/6/1
「エコロジー神話の功罪」 講演資料
- 吉野 敏行氏 (埼玉県庁) 「埼玉ゼロエミッション計画」 1998/5/15
- 後藤 典弘(すけひろ)氏 ((国立環境研究所
社会環境システム部長)
「廃棄物問題と持続可能性」 1998/4/13 - 森口祐一氏 (国立環境研究所
地域環境研究グループ総合研究官)
「産業連関表による二酸化炭素排出分析」 1998/3/4. 研究会スナップ
- 栗山 浩一氏 (北海道大学農学部助手)
「リサイクル商品の価値と市場性−コンジョイント分析による評価」 1997/12/17
研究会スナップ - 紺野 武郎 氏 (日本再生資源事業協同組合連合会 常任理事 リサイクル事業推進委員長)
「古紙回収の現状と課題」 1997/11/13
- 今村 保雄氏 (東京都世田谷清掃事務所副所長)
「再生紙普及拡大に向けた課題」 1997/6/17 -
鷲田
豊明氏 (神戸大学経済学部教授)
「環境経済政策と環境倫理」 1997/5/22
処理施設等見学
- メタン発酵(メタクレス)実験施設 鹿島建設調布研究所 00/12/22 (中村,近藤,高瀬,横山)
厨芥を破砕,加水,スラリー状にしてメタン発酵し,得られたガスと燃料電池を組み合わせて発電する実験施設を拝見しました. -
札幌生ゴミリサイクル
(TEMPLAR-M21) 00/11/10 (中村)
油温減圧式乾燥システムを用いて事業系生ゴミを飼料化
廃油を用いた天ぷらとも言うべき技術なのでこの名が付いています。 - 北見市生ゴミバイオガス実験施設
00/11/07 (中村)
- 福岡市準好気性最終処分場・汚泥処理場
00/10/13 (中村 APLAS2000 見学会)
- 福岡市金属回収(シュレッダー)工場
00/10/12 (中村・九州大学外川健一研究室と同行)
-
太平洋セメント熊谷工場 00/9/22
(中村、桜井、弦間、栗山、高瀬、横山)
- 越谷市資源化センター 00/7/18 (中村研究室)
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東埼玉資源環境組合 第1工場 越谷市
00/7/18 (中村研究室)
日本でも有数の高温高圧発電を行っている焼却工場。
焼却灰はすべて溶融してスラグ化し、飛灰は金属精錬施設に送っている。
最終処分されるのは溶融スラグのうち路盤材などとして利用されない部分のみ。 -
三菱電機(株)東浜リサイクルセンター
00/3/31 (中村、高瀬) 我が国初の家電リサイクル工場 - 東京電力横須賀火力発電所 00/1/6 (中村、弦間、高瀬)
脱硫設備 石膏関連施設 - 川崎製鉄千葉製鉄所 1999/12/17 (中村、栗山、高瀬)
ガス化溶融設備 (実証中)
4/15には建設中でしたが、今回は千葉市の廃棄物を受け容れた実証試験の模様を見せていただきました - 京都市廃棄物処理施設 1999/11/19 (中村 栗山)
水垂(伏見)埋立処分地 南部クリーンセンタ第2工場 南部クリーンセンタ破砕施設
- 京都市有機廃棄物バイオガス化技術実証研究プラント 1999/10/14 (中村)
-
有明興業株式会社 1999/7/23
金属スクラップ加工 (中村、赤尾、栗山、弦間、高瀬)
スナップ: 破砕 冷蔵庫・TV
CRT・基板・ダスト - NKK京浜製鉄所 廃プラスチック高炉原料化システム 1999/6/18 (中村、大和田)
東アジアリサイクル技術シンポジウム (工業技術院) 見学会 - 東京都下水道局南部スラッジプラント 1999/6/11 (中村、弦間、高瀬)
下水汚泥の濃縮・脱水・焼却・焼却灰溶融・軽量細粒材化・メトロ煉瓦生産
中間処理施設 メトロ煉瓦生産 軽量細粒材生産 - 川崎製鉄千葉製鉄所 1999/4/15 (中村、栗山、弦間)
高炉、ダスト精錬炉、エネルギーセンタ、ガス化溶融設備(実験中) - 茨木市環境衛生センター 1999/3/9 (中村)
直接溶融炉 - 北九州市産業廃棄物処理業 1998/11/18:
建築廃材処理T社 廃プラスチック・汚泥処理S社 (中村・大平)
- 北海道伊達市清掃工場 1998/8/5 (中村)
- 野村興産イトムカ鉱業所 1998/8/4 (中村、寄本):
工程図 -
北九州市廃棄物処理施設
1998/7/26 (中村)
北九州市環境局
- 王子製紙江戸川工場 1998/7/16: パルプ処理工程図
- 富良野市再訪 1998/3/25: 山辺焼却施設 富岡最終処分場
- 古紙回収ヤード 1998/2/6
2次問屋M紙業
(数少ないちり紙交換基地のひとつ)直納問屋A商店 - 東京都中央防波堤埋め立て処分場 1998/2/5
不燃ごみ処理センター埋め立て処分場 - 大宮市西部環境センター 1997/10/30 (中村・廃棄物学会主催)
焼却灰溶融系統図
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王子製紙
苫小牧工場 1997/9/4
- 東京大学北海道演習林 1997/9/3
-
富良野市 リサイクル施設
1997/9/2
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東京都千歳清掃工場
1997/7/22
研究出力
(早稲田大学現代政治経済研究所ワーキングペーパー)
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赤尾健一,持続可能な発展と環境クズネッツ曲線
WP#2008, 2001年2月
-
Nakamura, Shinichiro and Kondo Yasushi, Recycling, landfill consumption, and CO2 emission: analysis by waste input-output model,WP
#2007, November 2000
Journal of Material Cycles and Waste Management Vol.4, No.1,
pp. 2-11, 2002 (with Yasushi Kondo) に掲載 -
Nakamura, Shinichiro and Kondo Yasushi,
Input Output Analysis of Waste Management
WP #2005, August 2000
Journal of Industrial Ecology Vol.
6, No.1, 2002, pp.39-64 に掲載 -
Nakamura, Shinichiro,
Inter-Industry Analysis of the Demand for Landfill
Capacity,
WP #2002, June 2000, Hanashima et al (2000)に掲載
-
Nakamura, Shinichiro and Kondo Yasushi,
Recycling of Electrical Home Appliances: Its Impacts on
the Economy and Environment
with KONDO, Yasushi
WP #2003, June 2000 (投稿審査中)
- 栗山浩一 "環境ラベリング導入の社会的効果:コンジョイント分析による評価"
WP9906, 2000/4
- 中村 愼一郎 "廃棄物産業連関表 全国表の推定について"
WP9903, 1999/7 早稲田政治経済学雑誌 340号に掲載
- 赤尾 健一 "Maximal Program of a Forest Absorbing Atmospheric
Carbon Dioxide"
WP9705, 1997/9